« 2008年11月 | トップページ | 2009年1月 »

2008年12月

「日本全国 ローカル線おいしい旅」

年内にもう1冊いけると思ったんですが、これが最後になりそうです。今月8冊ということで、いつもより若干少なめになっちゃいました。

ということで、今回のご紹介は講談社現代新書から出ている「日本全国 ローカル線おいしい旅」(嵐山光三郎著)でございます。今年最後はテツの本ということで。

ま、確かにテツの本なんですが、著者が嵐山光三郎ということで、旅行エッセイといった雰囲気になっています。ついでに言うと、タイトルに「ローカル線」と銘打っていますが、実際はローカル線だけでなく、しっかり幹線にも乗っているし、カシオペアやサンライズ出雲のような寝台特急にも乗ってたりします。

「おいしい旅」というので、グルメ系のエッセイなのかな、と思って読むと意外にそうでもなく、温泉あり、ちょっと人情話あり、と、そこそこ読みでのある内容です。ただし、若干クセのある文章なので、読みにくいのは否めません。登場人物がいるのですが、ハナからニックネームで書かれていて、それが誰なのかが最後の最後に分かるようになっているのもちょっと。

とは言え、紀行文としてはなかなか面白い1冊だと思います。オススメです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

「幽刻記 -現代百物語-」

7冊目。ストック1冊と、もう1冊くらいは読めそうなので、今日中に全部アップの予定です。結局9冊がいっぱいいっぱいでしたね。

ということで、今回のご紹介は竹書房文庫から出ている「幽刻記 -現代百物語-」(西浦和也著)でございます。大晦日に怪談、ということで(笑)

前著「虚空に向かって猫が啼く」も今年読んだ本ですが、その続き、というか著者2冊目の本となります。ま、出ること自体はそこそこ前から知ってはいたんですが、昨日たまたま本屋に行って、たまたま出ているのを発見した、というくらいなもんで、偶然に偶然が重なって入手できた1冊です。

内容はというと、前に紹介した加門七海の本とは違う、ある意味正統派の「実話怪談」本です。一応、百物語と謳っていますが、「新耳袋」とか「九十九怪談」とは違い、本当に99話分しか収録されていません。

さすが、「新耳袋」に関わっていた人だけあって、この本の構成や語り口にその影響が見て取れます。本来の著者が書いた「九十九怪談」よりも「新耳袋」に近しい本だと思います。が、惜しいのは、やっぱり語り口が及ばないところでしょうか。決してヘタではないし、収録されたお話に問題があるワケでもなさそう。でも、ちょっと食い足りない感じがします。思うに語り口調の問題なのかな、と。

ちなみに、収録されたお話は結構怖い話とか不思議な話、珍しい怪談などあって、バラエティに富んでいます。少なくとも読んでいて飽きることはないはず。転生の話とかメイドの話、トークライブの話はかなりいい感じに思えました。

ということで、次回作にぜひ期待したい1冊。万人向けじゃありませんが、強くオススメです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

「日本海海戦の真実」

6冊目。ストック1冊ですが、読みさしが2冊あるので、年内はそこまで何とかいけそう。10冊はやっぱり厳しいかな〜。

ということで、今回のご紹介は講談社現代新書から出ている「日本海海戦の真実」(野村 實著)でございます。これまた一応歴史系の本ということで。

タイトルまんまの内容で、日露戦争の行方を決定づけた日本海海戦の勝利の陰でどんなことが起こっていたか、というのを資料をあたりつつ検証している、という本です。こう書いてしまうと案外つまらない本のようにも思えるんですが、そもそも今から1世紀も前の話になるので、意外にちゃんとした文献が残っていなかったり、脚色された形で後に伝わっていたりする、という事実があるようです。

日本海海戦と言えば東郷平八郎、なわけで、この人が現場でどのように采配したか、というのがつぶさに分かります。またこの人の名前を一躍有名にし、日本海海戦の勝利を決定づけた丁字戦法の裏話というか、そこに隠れていた話やそもそも対馬海峡でなく、津軽海峡で待ち伏せしてバルチック艦隊を殲滅するつもりがあった、というような話も初耳で、とても興味深い本です。

書かれ方は時系列を追った形になっているので読みやすいです。日本海海戦以後の日本海軍の状況と過ちの話も最後に付け加えられていて、単純に勝っただけでは済まなかった、という皮肉な「暗部」のところもきちんと触れられているのに好感が持てます。

なかなか高校の日本史の授業では終わりにくい年代の話で、正直、ワタクシも日露戦争の推移は詳しく知らなかったりするので、そういった部分を知る上でもいい本だと思います。オススメです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

「怪のはなし」

5冊目。ストック2冊に増えちゃいました(笑)。あと3冊なら年内に読めるかも?

ということで、今回のご紹介は集英社から出ている「怪のはなし」(加門七海著)でございます。ちょっとごぶさたでした、怪談本、ってことで(笑)

著者を見る限り、ホラー小説ではあっても「実話怪談」ではなかろう、と思う人も少なくないかも知れませんが、この本は「実話怪談」のようです。それを織り込んだ創作でもなく、純粋に「実話怪談」。しかも、著者自身が体験しているというお話を収録したもの。

で、この著者自身がよく見る、感じる人で、それを自分にとってはごくフツーの事象と捉えているフシがあるせいで、語り口も「こないだこんなことあったんだよねぇ」くらいのライトなもの。かつ、内容自体も全然怖くありません。同じ「新耳袋」とか「『超』怖い話」のような実話怪談本とも明らかに一線を画した本です。

怖くないなら、怪談としての価値は、という話もあるかも知れませんが、そこはそれ。読んでいてつまんないということもないし、読み手も淡々と読める不思議な本です。やはり、小説家の書く実話怪談と怪談作家の手がける実話怪談というのはスタンスが違って、それぞれに面白さがある、ということでしょうか。いずれにせよ、読んでみて損はないと思います。最新刊のようなので入手も簡単。オススメです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

「戦国武将の死生観」

4冊目。ストック1冊です。今月10冊はムリっぽいですが、どうやらもう何冊かは読めそうです。

ということで、今回のご紹介は新潮選書から出ている「戦国武将の死生観」(篠田達明著)でございます。何か久しぶりの歴史系の本のような。

そもそも何でこの本を選んだかと言えば、「戦国武将」の文字と「死生観」という言葉に引っかかったから。戦国武将が死に際に何を思ったか、っていうのは何となく興味深いところじゃないですか。で、まぁ、フタを開けてみると、確かに死に際にこだわった、というのは内容としてよく分かる仕掛けになっていますが、どちらかというと、戦国武将と戦国時代の女性たちが「どうして死んだか」に重きのある記述になっています。

前に読んだ「○○のカルテ」系の本と同じで、やれ胃がんで亡くなった、やれ脳卒中で亡くなった、という分析が主になっていて、その散り際に何をしたか、というのが従として入っている観があります。ならば、そういう話がつまらないか、というと、コレがやっぱり面白い(笑)

切腹だ、自刃だ、っていうのはアレですが、病死した武将は意外に多いし、病死する前でに何をしていたか、という話は興味深いので、「死生観」という言葉にはちょっと遠いような内容に思えましたが、これはこれで十分楽しめたので、良し、ではなかろうかと。ちょっと高めの本ですが、最新刊ですので書店に行けば目に付くでしょう。オススメです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

「鉄道地図の楽しい読み方 時刻表には夢と不思議がいっぱい」

3冊目。ストック1冊。もうクリスマスなんですよね〜。10日あまりであと何冊読めることか……。

ということで、今回のご紹介はワニ文庫から出ている「鉄道地図の楽しい読み方 時刻表には夢と不思議がいっぱい」(所澤秀樹著)でございます。この人の本も実は2冊目で、以前に紹介した本も鉄道地図に関する本。……よっぽど鉄道地図が好きなんでしょう(笑)

で、前回紹介した本はとことん鉄道地図にこだわった感じの内容でしたが、こちらは「ただのテツ」話も含まれている感じ。鉄道地図に関する章は冒頭の一章のみで、残りは鉄道地図も絡めつつ、フツーのテツ話が展開されています。

一章の中を細かくトピックス風にまとめているので、すいすい読めるし、取り上げている話もそこそこ興味深い話なので、案外飽きずに読めます。フツーの文庫本サイズなので、読むのに苦労することもないでしょう。

強いていうなら、この本はブックオフで買った関係で古い(笑)。初版が98年なので、今から10年前。青函トンネルが開通して10年、北斗星は走っていたけれど、カシオペアは翌年から、というくらいのタイミング。なので、やっぱり今とはちょっと事情の違うお話が入ってたりしています。そこさえ目をつぶれば、面白い本だと思います。オススメです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

「日本の歴代権力者」

2冊目。で、やっぱりストック2冊。まぁ、ここに来てピッチを上げるのもどうか、という話だったりするんですが(笑)

ということで、今回のご紹介は幻冬舎新書から出ている「日本の歴代権力者」(小谷野敦 著)でございます。

この人の著書は2冊目のご紹介で、去年の10月に「日本の有名一族」なる本を紹介しています。ま、今回のこの本も似たような系統で、割と最近に紹介した「歴代大統領総覧」とか、まだ紹介していない「歴代天皇総覧」と同じく、時代時代における「天皇以外の権力者」を端から集めてザラッと紹介したものです。前書きにもそんなことが書いてあり、本当にまんまそういう本です。

古くは聖徳太子あたりから始まり、平成の今の世の中まで1000年以上の幅で権力者を紹介する、というのがそもそも壮大すぎるんですが、一人一人の事績やら何やらの紹介があまりにも小さくなりすぎている感じがあります。概ね生まれと育ち、こんなことをやってました、という感じでまとまっているんですが、その時代にどのくらいどういう影響を与えたのか、という記述は少なめです。「歴代天皇総覧」は生まれ育ちより、最終的に何をやった人なのか(無論何もやってない人ならそう書かれていますが)というところに重きのある本だったんですが、それに呼応させてみた、という割にはちょっと内容が薄めです。

ただ、歴史の教科書には出てきにくい人たちも積極的に取り上げられているのは評価できるし、読み手としてもなかなか興味深いところです。

あと、ひとつだけ読んでいてとても気になったのが、中国に関する記述があるところは、ほとんどに「シナ」と当てているところ。何か思うところがあってのことなんでしょうが、ことこういう成り立ちの本なら、著者の考えるところよりも客観性を重視すべきじゃないかな、と思ったりしました。

ということで、読んでいて難がないことはないですが、トータルで見ればなかなか面白い1冊です。歴史好きなら読んでみてもいいのかも。オススメです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

「それから」

もう月も半ばを過ぎての更新ですが、12月の1冊目。ストック2冊あるんですが、それでも月内10冊は相当無理なペースになっちゃいました。

ということで、今回のご紹介は角川文庫から出ている「それから」(夏目漱石著)でございます。「門」の時にも書きましたが、もはや版元は問題じゃないですな(笑)

この作品も当然以前に読んだことがありまして、今回は年単位ぶりでの再読でした。確か新潮文庫で持っていたと思っていたんですが、たまたま見つからず、本屋で新潮のを探したらこれまたたまたまなく、しょうがない、角川にするか、といった風情で再読するために買っちゃいました。むろん、再読しようと思った動機は「こころ」のときに書いたように、ETV特集を見ちゃったから。

名作すぎるくらい名作なので、スジは当然頭の中にざっくりと記憶されていて、通して読んでみての驚きみたいなものはなかったんですが、代助が三千代に愛を告げるまでの煩悶っぷりがとても生々しく感じましたね。前に読んだときはそんな感じを受けなかったんですが。クライマックスのそこから締めに至るまでは一気に読まずにいられない感じ。本当に淡々と書かれた「門」とは違い、劇的です。

85年に松田優作と藤谷美和子のコンビで映画化されたのも観ましたが、原作の方がもっとしっとりとしていて、空気感や色彩感を感じた気がしました。

ま、これだけの名作、入手も簡単だしいつでも読めるんで、興味はなくとも一度は読んだ方がいいと思います。強くオススメです。


| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2008年11月 | トップページ | 2009年1月 »