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2009年4月

「ひとり百物語」

5冊目。何やかやで今月最後になっちゃいました。先月に引き続き、意外なほど読めてないんですよね。困ったもんです。

ということで、今回のご紹介はメディアファクトリーから出ている「ひとり百物語」(立原透耶著)でございます。締めが怪談になっちゃいましたが(笑)

と、書いた通り、かつタイトルでも分かる通り、怪談本です。そもそもこの方、怪談作家でも何でもなく、ファンタジーとかそういう系統の作家さんだったりするらしいんですが、幸か不幸か「見える」人のようで、自分の体験を書き連ねていったら「百」あった、というお話みたいです。

なので、タイトルも分かりやすく「ひとり百物語」となってるみたいです。ま、実際には本人の体験ではなく、身内の体験談なども含まれているので、完璧に“ひとり”ではないですが。

肝心の中身ですが、百物語と銘打っているのできちんと100話収録されています。何気に本人はちょっと気にしていたようで、あとがきにもう一話分として実質101話収録という、ある意味新しいスタイルを取っています(笑)。Amazonのレビューとかでもすでに書かれていますが、実に淡々と、取りようによってはポップにすら取れる文体で怪談を書いています。なので、読んでいる最中は「そうなんだぁ」としか感じないんですが、後から思い返してみると「結構怖くね?」という、怪談本の王道からちょっと外れた1冊です。

特に章立てをしているワケではありませんが、同じ根っこの話をいくつかに分割して「その1」「その2」とやってたり、時系列関係なく登場する人物やその他が同じだけどまったく違う話、というのがいくつも収録されています。だからと言って水増しされている感があるワケでなく、きちんと読ませてくれる本です。ライトな怪談好きからジャンキーまで幅広く楽しめるのではないでしょうか。万人向けではありませんが、オススメです。

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「ダウン・ツ・ヘヴン」

4冊目。変わらずストック1冊です。読めませんねぇ、なかなか。

ということで、今回のご紹介は中公文庫から出ている「ダウン・ツ・ヘヴン」(森 博嗣著)でございます。

今月最初に紹介した「ナ・バ・テア」と同じく、「スカイ・クロラ」シリーズの作品で時系列的に第2作目に当たる本です。まぁ、これも音をカタカナにしてタイトルとしているんですが「Down To Heaven」ですね(見りゃ分かるか・笑)

上にも書いた通り、時系列で「ナ・バ・テア」の次にくるので、内容的にもしっかり連続しています。主人公も変わらず、とりまく環境が数ヶ月とかって年とかって単位で変わっているようです。「ナ・バ・テア」と同じく、劇場版で設定された時間から見ると、過去にあたるので劇場版では一切語られない内容がここにも書かれています。なので、刊行順で「スカイ・クロラ」から読み始めた人や劇場版から入った人は、そこで語られなかったいろいろが少しずつ見えてくる、という仕掛けです。

空戦シーンはやっぱり今ひとつ想像力が働かない感じで、どうもそこがもどかしいんですが、そこはそれ。読んでいて退屈することはないし、サクサク読める本です。著者は「どこから読んでも大丈夫」と言っているようですが、個人的には刊行順、もしくは時系列順で読み進めるのがオススメです。

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『「極」怖い話 罠』

3冊目。ストック1冊です。ってか、もう月も半分超えたっちゅーのに、まだ全部で4冊。あまりにもペースが遅いですな。

ということで、今回のご紹介は竹書房文庫から出ている『「極」怖い話 罠』(加藤 一著)でございます。再び怪談本ということで。

ここでも以前ご紹介した『「極」怖い話』の続編にあたります。まぁ、怪談なので続編もへったくれもないんですが、一応シリーズとして続編、ということで。無論、著者は加藤さんなので、中身は当然実話怪談です。

例によって長編怪談……ではないんですが、構成はとても意欲的(?)です。この手の本の常として、語り部は地の文で語らず、見聞きしたことだけが文として残るわけですが、この本は語り部が自ら語り、かつその流れで怪談を存在させているという、かなり変わった構成になっています。

正直、読み始めて「ん?」と戸惑ったことは否めませんが、読み進めていくうちにすんなり入ることができたので、これはこれ、スタイルとしてはアリだなぁ、と思った次第です。

ただし、いわゆる「怪談を読む」という感じではなく、ひとつの読み物を淡々と読み進めていく感じがします。怪談自体は不思議な話あり、相当怖い話ありと、実にバリエーション豊富。さすがの一言です。

欲を言えば、もう少し分量が欲しかったかもなぁ、という気がしないでもなかったですが、堪能できる一冊だと思います。万人向けではありませんが、オススメです。

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「イノセント・ゲリラの祝祭」

2冊目。もう月半ばなんですけどね。思いの外読めてません。う〜む。

ということで、今回のご紹介は宝島社から出ている「イノセント・ゲリラの祝祭」(海堂 尊著)でございます。海堂 尊の本、と言えば、当然「バチスタ」シリーズの本でして、この本は特に「チーム・バチスタの栄光」の直系シリーズ第4弾という位置づけです。

ちなみに時系列で行くと、特に明示されていませんが、セリフの中に「バチスタ」から2年後、という記述があるので、おそらくそのあたり。「ナイチンゲール」「ジェネラル・ルージュ」から1年1ヶ月後くらいの設定になっていると思われます。

内容は、というと、さすがにスジは書けないので、ざっくり概要だけ。「バチスタ」から始まる3作品はそれなりにミステリーな色合いが強かった(特に「バチスタ」と「ナイチンゲール」は)んですが、4作目のこの作品はミステリー色ほぼゼロです。帯の叩き文句にもあるように、「バチスタ」コンビが厚労省ぶっつぶす、くらいの話ではあるんですが、実際にはこの2人は半ばお飾り。中盤以降に出てくる人物がキーマンで、ラストでは快刀乱麻の活躍(?)をしてくれます。

この最終章に至る2章は出色のできばえで、読んでいて非常に気持ちいいです。まぁ、強いて難を言うなら、結局のところオチが付かない、というところでしょうか。おそらくこの後に執筆されるであろうシリーズ5作目への橋渡し的な印象があります。

ちなみにこの本は去年の11月初版で、ワタクシはほぼ発売と同時に買っているんですが、読んだのは実に5ヶ月後(笑)。この前で紹介した「ジェネラル・ルージュの伝説」の項で書きましたが、出た順番で読んでいないのがひとつ、もう一つは新刊が出るまではもったいなくて読めない、というのが原因です。で、今月に入って新刊が出たので、やっと読んだ、という次第で。

新刊の方は、時系列で言うとこの本とほぼ平行して動いているようです。「ジーン・ワルツ」の前段のお話、という感じなはず。次の新刊が出るまでは読みませんが(笑)

ということで、いつものことながら文句なしに強くオススメ。さらに言うなら、ぜひ冊数は多いですが、海堂 尊の著書全部読んでみてください。その方が何倍も楽しめます。

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「ナ・バ・テア」

4月の1冊目。当然ストックはありません(笑)。今月は最低10冊目標でがんばって読んでいきたいな、と思う次第でございます。

ということで、今回のご紹介は中公文庫から出ている「ナ・バ・テア」(森 博嗣著)でございます。タイトルがカタカナの字面だと何だか分からないんですが、「ナ・バ・テア」は「None But Air」をそれっぽく音にしたタイトル、といったところでしょうか。

で、このお話自体は去年、押井守監督で劇場版アニメ化された「スカイクロラ」シリーズの1冊となります。刊行順でいくと、シリーズタイトルにもなっている「スカイクロラ」が一番最初で、次がこの「ナ・バ・テア」らしいんですが、著者曰く「ナ・バ・テア」が一番最初のお話、ということらしいので、ワタクシもそれに沿って読んでみました。

そもそも、この「スカイクロラ」シリーズって背景がよく把握できないお話で、キルドレなる大人にならない子供とエンターテイメントとして存在する戦争がキーワードになっているようなんですが、なぜにそんなことになっているのかが映画では語られませんでした。まぁ、さすがにストーリーとして一番最初に位置するこの作品を読んだからとて、そのあたりの話が分かるワケもないんですが、映画で「?」と思った一部はこの作品を読んで納得しました。

ほどほどの厚みで、内容もそこそこ濃い目。主人公は戦闘機乗りなので、空戦シーンも多数含まれているんですが、文字面で空戦シーンを描写するのはなかなか難しいようで、読んでいてもイマイチ様子が想像できない、というか、頭に浮かんでこないんですよね。そこが唯一の難点。あと、この話に関して言うなら、主人公は女性ですが、一人称代名詞に「僕」とあるので、しばらく読んでいかないと女性であることが分かりません。ただし、アニメを観た人は名前が出てくるので、その時点で女性だな、と判断が付くでしょう。というような、妙な複雑さがあったりもしますが、概ね面白く読める1冊です。とりあえずオススメな1冊。

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